MISFIT LIFE

INTERVIEW

女性らしさを褒められるより、私自身を褒められたい

今、コミュニケーション講師として多くの注目と人気を集めている吉井奈々さんは、「男に生まれて、女になって、結婚した人」でもあります。10代のうちに親元を離れて新宿2丁目で水商売デビューした後、大学講師となり、タレントとしても活躍。性転換手術を受けて、27歳の時に中学校の同級生だった彼と結婚......と波乱万丈な人生を歩んでいます。

充実したキャリアを積みながらも、愛に溢れる毎日を送っている理由とは?

吉井さんの愛の育み方、人生の方、ライフスタイルについて全3回にわたって話を聞きました。

PROFILE 吉井奈々

1981年、神奈川県生まれ。10代前半より性別にとらわれず数々の水商売経験を積み、経営にも携わる。'04年、23歳の時に性転換手術を受けて、戸籍上も女性に。'10年、中学時代の同級生と結婚。ジェンダーやカルチャーへの深い知識と、元男性でありながら、女性として結婚するに至った経験を生かして、大学講師、コミュニケーション講師などで活躍。著書に『男に生まれて、女になって、結婚もできました』(日本文芸社)など。http://nana-yoshii.com

手術して戸籍も変えたけど、"普通の女性"への憧れは全然ない。

芳麗奈々さんは、LGBTでいうと、T(トランスジェンダー)ですよね。

吉井そうですね。でも、私たちのようなセクシャリティをどう分類してどう呼べばいいのかは、とても難しい問題。私は当事者として、そのルーツや歴史が知りたくてずっと学んできたし、それが高じて、大学講師として、ジェンダー学や社会学についての講義させていただくようにもなったのですが。学んで知るほどに一言では言い表せない話だなと。思いや見方は人それぞれだし、諸説ありますから。

芳麗なるほど。無理に分類して、レッテルを貼る必要もないですしね。

吉井はい。たとえば、私と同じトランスでも、"オカマ"とか"オネエ"って呼ばれるのが嫌な人は多いと思うんです。心身ともに女の子だし、女の子でありたいって思っている当事者は、絶対にそう呼ばれたくないって。でも、私は全く気にしない。自分は永遠に【女性】ではなく、【オネエ】だと思っていますから。

芳麗それは、オネエであることに誇りを持っているということ?

吉井うーん。誇りを持っているというよりも、単純に"普通の女性"への憧れがあまりないんだと思う(笑)。もし、私が一般的な女性になりたいと願っていたら、講演でいつも着ているような女性のラインを強調した洋服は着たりしませんよ。もっと今時の女性らしい、雑誌に載っているようなソツのない流行服を着ますよね。

芳麗もっとモテ系とか、一般ウケな女性を目指す。

吉井そうそう。私は、手術もしたし、戸籍も変えたけど、普通の女性になろうっていう発想じゃない。女性らしい服は好きだけど、私は地味なものより過剰なくらい華やかなものが好みだし、自分に似合うとも思う。トランスだけど、ちょっと女装家的というか。心身ともに、女性のコスプレを楽しんでいる感覚なんですよね。たぶん、私は女性ではなく、ハナでありたいんだと思う。

芳麗花でありたい......?

吉井華のある花になりたい。10代で水商売をやっていた頃に、お世話になったお店のママによく言われたの。「私たちは、異形だってことを忘れないで。華にはなれても、女性にはなれない。女性とは違う生き物だからこそ、価値があるんだからね」と。

芳麗なるほど。

吉井敬愛するママの影響は大きいですね。「もし、私たちが美しくて色恋に長ける女性になれたとしても、すぐに男に壊されちゃうよ」とも言ってました。しかも、オネエが女性の土俵に上がろうとした瞬間、「どうせ、子供は産めないでしょ」なんて世間に叩かれたりするからねって。その通りだと思うから。「素敵な女性ですね」って言われるよりも、「吉井奈々さんって素敵ね」って言われたい。

芳麗それはそうですね。私も女性として褒められる以上に、自分として好かれたらより嬉しいです。

不況でも世知辛くても、生き抜く力だけは備えている!

芳麗奈々さんは、10代の頃から水商売で人気を博しながらも、大学講師に転向しました。そして、メディアに多数出演して、現在はコミュニケーション講師とカウンセリングをメインにお仕事している。かなり面白いキャリアですよね。

吉井たくさんの良い縁に恵まれたおかげですけど、基本は、自分で道を切り拓いてきましたよ(笑)。私が長くいたお店はステージでニューハーフショーを見せるお店。人が好きだから接客も好きだし、ステージで歌ったり踊ったりするのも大好きだったけど......。バブルの残り香の中、リーマンショックが起こって、どこのお店も経営がガタガタになっていったんです。それを見ていて、「一生、水商売では私は難しいな。他に生きる術も見つけなきゃ」と思ったの。

芳麗たくましい。

吉井それで、とりあえずは自分のホームページを立ち上げて自分の考えや思いをエッセイで書き始めたんです。ジェンダーのことから、大好きなサブカルチャーや美容整形ネタまで。思いの丈を書いていたら、ある日、盛岡大学の教授の目に止まって、「大学でジェンダーについて当事者の視点で語ってほしい」と依頼を頂いて。いろんな大学に呼んでいただく機会が増えて、ジェンダーとカルチャーの研究を進めるうちに、大学講師のお仕事が軸になりました。

芳麗予想外の展開!

吉井はい。でも、自然な流れでした。もともとオタク気質だからジェンダーでもカルチャーでも、自分の興味は突き詰めるタイプだったし。ショーに出ていたくらいだから、人前でパフォーマンスするのも得意。大学講師の仕事をきっかけにメディア出演の依頼や、企業の講演に呼んでいただくことも増えたんです。たくさんの人と触れ合って、いろんな人の悩みやニーズに私なりに応えているうちに、今のコミュケーション講師やカウンセリングのお仕事につながっていきました。いろんな経験を積みましたが、私が人生をかけてやってきたこと、もっとも大切にしていることを抽出するならば、やはりコミュニケーションですから。

芳麗いろんな経験を積みながら、自分を活かしてステップアップしていくって、理想的な歩み方ですよね。

吉井縁とタイミングのおかげ。もちろん、自分の意思もあります。誰かの役に立てることは、すごく嬉しいし、やりがいがありますから。それと、私は、生きる力......サバイバル力がかなり強いんだと思います。中学で親元を離れて自立して働き始めたし、自分で言うのもなんですが波乱万丈な人生を送ってきたから、どうにか自力で生きていこうという意志と力は強い。世知辛い世の中だけど、とにかく、生きぬかないとって!(笑)。

芳麗30代半ばとはいえ、同世代の人より10年はキャリアが長いし、10倍以上は濃い人生を歩んでいるからこそのサバイバル力だなって思います。

吉井たしかにそうかもしれないです。

第2回は、吉井奈々さんの幸せな結婚生活とライフスタイルについて伺います。

活躍のベースとなるもの

さまざまな経験を積みながら、自分を活かしてキャリアアップし、大活躍している吉井さん。精神的な強さに加え日々の健康管理も土台なのでは?

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女性らしさを褒められるより、私自身を褒められたい

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PHOTOGRAPHS by 田上浩一

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