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【暗闇で解放される心と五感】
「助けて」と言えないあなたに「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を勧めたい    

ライターのカツセマサヒコです。
MISFIT LIFE で初めて書きます。

MISFIT(ユニーク)な精神を持って生活を味わう術やトレンド情報を発信している当媒体ですが、今回ご紹介するものは、知る人ぞ知るエンタテインメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下ダイアログ)」です!

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」とは?

完全に光を遮断した"純度100%の暗闇"の中で、さまざまな体験を通じ「五感」の気付きや「コミュニケーション」などを楽しむソーシャルエンターテインメント。参加者は光を完全に遮断した空間の中へグループ(8名程度)で入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障がい者)のサポートのもと、中を探検し、さまざまなシーンを体験する。

1988年にドイツの哲学博士ハイネッケ氏の発案により始まって以来、世界39か国、130都市で開催され、これまで800万人以上、日本では17万人以上が体験している。
http://www.dialoginthedark.com/

2009年から日本でも常設会場を開いているダイアログ。最新のエンタメというわけではないですし、なんで今更...? と思う人もいるかもしれません。

しかし編集長の芳麗(よしれい)さんと企画会議をしていたところ、「カツセさんには、ダイアログ・イン・ザ・ダークが良いのでは?」とのお達し。なんでも芳麗さん曰く、「私の中で、世界はダイアログを知っている人と知らない人に分けられているんです」とのこと。

いや、大げさすぎるでしょ...と思いつつ、でも、気持ちもわからなくない。僕もダイアログは過去に二度ほど体験したことがあって、しかも一度は感動のあまり、両親を連れて行ったほどでした。

オープンして7年も経ったエンタテインメントですが、まだ知らない人がいるなら、ぜひ、知ってほしい。今更でも紹介する価値があると思い、企画の実施に至りました!

というわけで、MISFITの新作ウェアラブルデバイス「MISFIT RAY」を付けて、いざ、まっ暗闇のエンタテインメントの世界へ!...と言いたいところなのですが、完全なる暗闇体験のために、RAYをズボンのポケットにそっとしまいます。(※今回は取材のために特別に許可いただきましたが、通常はMisfit Rayも、通信の際に端末が光る可能性があることから、万が一作動しないようにロッカーにしまっていただきます。)

緊張と興奮が入り混じる待ち時間

外苑前駅から徒歩10分、やたらとオシャレな道を抜けたところにダイアログは店舗を構えています。ぼんやりとやさしい明りが広がる、ちょっとした洞窟のような雰囲気。受付の方の笑顔がすてき。

開始時刻の15分前には受付を済ませます。順番が来るまで、エントランス前のスペースで待機。何回来たって、緊張と興奮が入り混じる。

ちなみにちょっとマニアックなのですが、待ち時間にオススメしたいのが「波紋音(はもん)」と呼ばれるこちらの楽器を叩いて待つこと。これ、めちゃくちゃやさしい音が響いて、本当に心が安らぐのです。今まで耳にしたことのない響きがするので、ダイアログに来たら絶対に体験してほしい。
※取材当日はテーブルの上になかったので、スタッフの方に声をかけてわざわざ出してもらいました。

開始時間になったら、受付の方に呼ばれて簡単に注意事項を聞きます。本当にまっ暗闇に行くので、携帯電話などの光るモノは持っちゃいけないし、貴重品などの壊れる恐れがあるものも、100円ロッカーにしまわなければなりません。(お金はあとで戻ってきます)

受付 今回は7名でご参加いただきます。珍しく全員男性ですね!

カツセ (一人くらい女子いてほしかったな)

受付 初対面同士の方もいらっしゃるかと思うので、皆さんのお顔をよく見ておくようにしてくださいね。暗闇に入ったら、全く何も見えないですから。

カツセ 出てきたときにこのメンバー以外の人がいたら、めちゃくちゃ怖いですもんね。

受付 それはないです。

カツセ ですよね。

初対面同士のグループで一緒に行動することも、ダイアログの醍醐味のひとつ。まっ暗闇に行くと、着ている服も、髪型も、コンタクトレンズの有無もすべて関係なくなります。「人は見た目が9割」なんてよく聞きますが、ここではビジュアルなんて何も役に立たない。視覚以外の感覚と、相手への思いやりだけが鍵を握る、やさしい世界への冒険が始まります。

冒険心くすぐる90分の暗闇体験スタート!

ここからは暗闇につきフラッシュ撮影もできないので、写真はナシ!

でもどうしても雰囲気を伝えたかったので、今回はLINEスタンプが一世を風靡したマンガ家・森もり子先生に同行してもらって、暗闇散策中の様子をイラスト化してもらいました! 森先生のイラストと合わせてお楽しみください。

エントランスから扉をくぐると、目を凝らせば何があるかはわかるぐらいの暗闇へ。そこには今回の旅をアテンドしてくれる、ガイド歴4年のかっきーさんが待っていました。今回本当に男ばっかり。

kakky 今日はよろしくお願いします。最初に確認ですが、皆さんの中にメガネをかけている方はいらっしゃいますか?

カツセ 全員、メガネはかけていないですね。(本当に見えてないんだな...)

kakky お、めずらしい。今回はゼロ・メガネですね?

カツセ はい、ゼロ・メガネです。(なんだろうその単位...)

kakky 視覚障がい者が持っている白い棒を「白杖(はくじょう)」と呼びます。今回の暗闇散策でもこの白杖を使いますので、みなさん1本ずつお取りください。

カツセ はい、みんな取りました!

kakky 大丈夫ですか? 欲張って2本持っている人いませんか?

カツセ さすがにいないです。

kakky なら良かった。

kakky 暗闇の中ではこれを使って障害物がないか確認したり、地面がどんな材質でできているかを確認したりします。

カツセ ふむふむ。もしも落としてしまったらどうするんですか?

kakky 急に拾おうとすると誰かにぶつかるかもしれないので、「かっきー、しゃがみます」など、何か行動するたびに、自分の名前と合わせてその行動を周りに伝えてあげてください!

カツセ なるほど! コミュニケーションが大事なんですね。

kakky そうです! いっぱいお話するようにしてくださいね。それでは、もう一段回暗い部屋へ移動します!

かっきーさんに続いてカーテンをくぐると、今度は本当にまっ暗闇に。さっきまでそばにいたはずの隣の人すら見えなくなるから、ものすごい不安に襲われる。

kakky さあ、純度100%の暗闇に到着しました。気分はいかがですか?

カツセ 心細さが尋常じゃないし、目を開けても閉じても、視界がまったく変わらない...!

kakky そうですね。無理に見ようとすると目が疲れてしまうので、いっそ目を閉じていてもいいかもしれません。慣れてくれば楽しくなってくるはずですので、それまではゆっくり進みましょう。

今回は前の人の肩に手を置きながら、白杖で足元を突きつつ進む。白杖から跳ね返ってくる地面の感覚でしか足場を判断できないので、ものすごく不安。平地なのに「足を滑らせたら死ぬ」って勝手に思い込んでしまう。

でも少し歩いたところで、遠くで鳥の声がしたり、川のせせらぎが聞こえたり、草木が風で揺れる音が聞こえてくるように。急に空間が広がったときの心地よさを、聴覚だけで味わえる。

カツセ あ! なんか急に、空間が広がった感じがしますね。

kakky お、いいですね。よく気付きました。何が聞こえます?

カツセ 鳥の鳴き声と、川のせせらぎ、あと、草木が揺れる音...?

kakky そうですね。実はここ、公園なんです。遊具があるので、みなさんでそれを探してみましょうか。

恐る恐る散策を始めると、いつの間にか恐怖心よりも好奇心が勝って、暗闇をずんずん散策するように。

「ブランコがあった!」「こっちに変な金属がある!」

誰よりも先に新しい遊具を見つけて、それを自慢したいって思う気持ち。気付けばもうすっかり、子どもに戻っている。

この日は「ダイアログ(対話)」がテーマだったので、まっ暗闇のなか、瞑想して自分自身と対話する時間や、同じグループの人と背中をくっつけて話し合う時間が設けられました。

暗闇って不思議で、瞑想するのはもちろんですが、他人と話していても、「ここだったら何を話しても大丈夫」という雰囲気があるからすごい。僕も初対面の方を相手に、絶対に記事には書けないような超ネガティブな悩み相談などをガンガンしてめちゃくちゃスッキリしました。

途中でまっ暗闇のカフェにも寄ります。飲み物はお酒まであるし、おつまみも食べられる。でもワインを頼んでも「赤か白かは自分で当てて?」と言われるし、出てくるお菓子も何かは教えてもらえない。自分たちが普段いかに視覚に頼って生きているかが、ハッキリとわかる瞬間でした。

しかも会計は日本円! 当たり前のことかもしれないけれど、実は小銭もお札も、視覚に頼らなくても認識できるようにできていているんですよね。1,000円札と5,000円札を視覚を使わずに見分ける方法、知らない人はぜひここで学んでみてほしい。

このほかにもいくつかのイベントを含みつつ、90分間の暗闇散策はあっという間に終了!

体験してみればわかりますが、暗闇の中だと体感時間がおかしくなって、人によって時間感覚がバラバラになるから面白い。

また、暗闇から出ると目が慣れるまで視覚が使い物にならなくなっていることと、視覚以外の感覚がめちゃくちゃ研ぎ澄まされていることに驚きます。日常に戻ってきたはずなのに、まるで非日常の世界に来たように感じる。

入ったときはあんなに怖かった暗闇が、今は本当にあたたかくやさしい場所に感じられるから不思議。この奇妙な感覚、自分で体験しないと絶対にわからないと思うので、興味を持った人はぜひ足を運んでください...!

ダイアログの理事・志村季世恵さんの「日常」と「非日常」

暗闇体験をした後は、ダイアログの理事を務める志村季世恵さんにお話を伺う機会をいただけました! 

志村さんは妊娠中の患者さんたちのケアをするバースセラピストとしても有名で、末期ガンなどの治癒困難な患者と家族を対象とする終末期ケアのセラピストとしても現役で活動しているらしい。

生と死の両方に向き合う職業に就いている時点で、ダイアログに通じる雰囲気が漂いまくっている志村さんに、ダイアログの「不思議な感覚」についての話を聞かせてもらうことになりました!

カツセ 3年ぶりにダイアログを体験したんですけど、やっぱり終わった後の心地よさがすごいです。今もまだ興奮してます。

志村 そう感じられてよかったです。私たちって普段、本当に視覚に頼って生きているんだなあってわかるでしょう?

カツセ そうなんですよ。ワインの味とか、地面の感覚とか、普段はあんなに意識してなかった。あとはアテンドのかっきーさんのフットワークやファシリテーションスキルの高さに、ただただ感心していました。

志村 そうそう。そういえば、わたしが最初にダイアログを体験したときは、わたし自身が迷子になってね。

カツセ 理事やっていても迷子になるんですか!

志村 最初は誰だってそうだよ(笑)。でも「迷子になった」って言ってないのに、アテンドの人が「こっちだよ」って手を取ってくれたの。

カツセ え、なんで「迷子になった」って言ってないのにわかったんですか?

志村 「迷子の音」があるんですって。

カツセ 「迷子の音」...?

志村 迷子の人って不安になっているから、白杖を普段よりもコツコツ小刻みに突くらしいの。それに歩幅も小さくなって、細かく歩くようになる。足音も小刻みになるから、それでわかるんだよって。

カツセ すごい。参加者は複数人いる中で、その音を見分けているのか。

志村 彼らにとっては暗闇も明るい世界も、同じ日常。外で横断歩道を歩くのも、暗闇で迷子をつかまえるのも、いつものことなんだよね。

カツセ 僕もそれ、不思議だなって思いました。彼らにとって暗闇は日常の世界なのに、僕らにとっては非日常的なもの。そこにわざわざ感銘を受けたり、衝撃を受けたりするのって、つまりその人たちの世界を何も知ってなかったってことで、そのギャップに苦しむというか、「うわ! こんな世界を知らなかったのか!」ってガッカリするんです。

志村 そうそう。だから私も、ダイアログを始めていろんなことを学んだよ。

志村 前に出張に行ったとき、アテンドスタッフと同じ部屋に泊まることがあったの。そこで「お風呂いれてくるね」と言って蛇口をひねって、しばらくしてから「もうお湯、たまったかな」って浴槽を見に行ったんだけど、そしたらスタッフが、私を見て笑っていて。

カツセ そうか、全盲の人って、音でお湯がたまるタイミングがわかっちゃう...?

志村 そう。「お風呂のお湯のちょうどいい音もわからないのか。目が見えるって、不便だな」って笑いながら言われたの(笑)

カツセ すごい。健常者の人たちが言いそうなことを、逆に言われるのか(笑)

志村 そうそう。彼らってそうやって、視覚を補うどころか、それ以上の感覚を得ている。人間は視覚からの情報が80%って言うでしょう? でも彼らは耳と肌の感覚だけで、音の響き、空気の揺れ方・圧迫具合を感じて、天井の高さが何メートルなのかがわかるの。

カツセ そういうエピソードを聞くと、僕たちが普段、いかに視覚だけを使って暮らしているかを思い知らされますね...。

志村 でも別にね、ダイアログの目的は「目に見えない人の気持ちになってみてね!」というものではないの。

カツセ 確かにダイアログの体験内容を振り返ると、もっと違うところに狙いはありそうですよね。ダイアログが参加者に提供したいものって、何なんですか?

志村 参加者もアテンドも、文化も出身も言葉も性別も年齢もそれぞれ違うと思うんだけど、そういったいろんなギャップを一度横に置いて、暗闇でフラットに遊んで、お互いを知って、自然とお互いを助け合うような関係性を広げていきたいの。

カツセ 「自然とお互いを助け合う」かあ...。それで思い出しましたけど、僕、初めて参加したとき、同じ回に見た目がめちゃくちゃ怖い人がいたんですよ。

志村 あははは(笑)

カツセ でもいざ暗闇に入ったら、最初に手をとって助けてくれたのは、その人だったんですよ。で、「あれ、この声、あの怖い兄ちゃんだよな?」って、一瞬疑ったくらいで。

志村 そうそう。暗闇に入ると、何か格好つけてたものとかが落ちたりするんだよね。

カツセ 僕自身も、暗闇に入ったら普段と違う自分が出てくる気がします。少し子どもに戻っているというか...。「こんな自分いたのか」って思うときもあるぐらいで。

志村 そうそう。あと、暗闇では「助けて!」って言いやすいでしょう? 今の世の中って「助けて」と言えない人が多いし、「弱みを見せちゃいけない」って思っている人も多い。あと「助けるよ?」とも言いづらくなっているよね。

カツセ 確かに。東京に住んでいると、より実感しますよね。「助けて」って全然言わないし、聞かない。

志村 でも暗闇でそういうことが言えるようになると、「あ、人間っていいな、あたたかいな」って思えるようになる。そんなことを思える場って、今の世の中にはあまりないでしょう? だからダイアログが存在する意味があると思うの。

カツセ だからこそダイアログを体験した人がひとりでも増えればって思えますよね。ほぼ口コミだけでの集客で成り立つのは、存在意義がしっかりしてるからだと思います。

志村 そうだね。見える人・見えない人って区別ではなく、文化がちょっと違うだけ。そのうえで苦手な部分は互いに助け合えばいいって、ダイアログに参加してそう思える人が増えればいいって、本当に思うな。

おわりに

さすがセラピストと言うべきか、それとも長くダイアログに携わったことで得た鋭い感覚や豊かな感性から来るものなのか、志村さんの声や仕草や話し方は、どこか吸い込まれそうな深みがありました。

このほかにもめちゃくちゃおもしろい話が出ていたのですが、あまりに長文すぎるので箇条書きでまとめます!

・志村さんは毎日公園を裸足で歩いている。感覚が自然になれるらしい。

・アテンドスタッフの人は参加者に声が届きやすいように、真っ暗闇の中を後ろ向きに歩いて進んでいる。

・ダイアログはドイツでスタートしてこれまで39カ国で展開してきたが、日本以外の国ではドイツと同内容のプログラムしかやっていない。日本だけは志村さんに一任されているため、四季折々のプログラムを展開できる。(つまり志村さんはすごいし、日本のダイアログは最高)

・日本のダイアログは経済的な問題と安全面の配慮から、常設店or常設開催ができるまでに20年くらいかかった。

聞けば聞くほど、魅力が詰まっているダイアログ・イン・ザ・ダーク。

何度も何度も言いますが、まだ経験をしたことがない方、一度は経験したけど、前回からだいぶ時間が経ってしまった方、ぜひ足を運んでみてくださいね!

(ちなみに大阪には、内容が異なるもうひとつのダイアログ常設会場「対話のある家」があるそうです! 詳しくは公式サイトをご覧ください)

それでは、また!

「自然とお互いを助け合う」から生まれたダイアログ・イン・ザ・ダーク

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【暗闇で解放される心と五感】「助けて」と言えないあなたに「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を勧めたい    

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